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陶器でお酒を飲むと、一般的にお酒の味がより深く、豊かな味わいが楽しめると言われています。陶器は通気性が低く、熱伝導性が高いため、お酒の温度を一定に保ちやすく、また、お酒と陶器の素材が反応して、お酒の風味を引き出します。
器がお酒に影響を与えるポイントとしては、大きく2つあります。
1つ目はお酒の味わい。器の素材によって別の風味が加わったり、お酒を口に含んだ時の勢いや量の違いによって印象が変わることがあります。
2つ目はお酒の香り。器の底の形や口の広さによって空気に触れる面積が変わり、香りの印象にも変化をもたらします。器にこだわることは、お酒を味だけでなく嗅覚や触覚でも楽しむということです。
ただし、陶器が必ずしも全てのお酒に適しているわけではありません。例えば、ビールやスパークリングワインなど、炭酸が含まれるお酒を陶器で飲むと、泡立ちが悪くなることがあります。
また、陶器によっては、お酒の味が変わるものもあります。したがって、陶器でお酒を飲むことが美味しくなるかどうかは、お酒の種類や陶器の素材、形状、風合いなどによって異なるため、一概には言えません。
どんなお酒が陶器に合う?
陶器に合うお酒としては、日本酒が有名です。特に、土鍋や燗器などで熱燗にして飲むと、お酒の味わいが深くなり、温かいお酒が体を温める効果もあるため、冬場はより一層おいしく感じられます。
また、陶器に合うお酒としては、芋焼酎や泡盛などの焼酎も挙げられます。これらのお酒は、陶器に入れることで、より濃厚でコクのある味わいが楽しめます。
さらに、ワインやブランデー、ウイスキーなどの蒸留酒も、陶器で飲むことでより豊かな風味を味わうことができます。ただし、陶器の種類によっては、蒸留酒の風味を損なうことがあるため、適切な陶器を選ぶことが大切です。
お酒の第一印象を左右する「ふちの厚み」
器のふちは、お酒を飲む時に唇が最初に触れる場所です。ぽってりとした器から、ほどよい厚みのもの、今にも割れてしまいそうな薄さのもの…ふちには様々な厚みがあり、それによりお酒の印象にも影響を与えます。
ふちが薄く作られた器は、唇に接する面が少なく、口当たりがシャープな印象になります。また勢いよく、一度に多くのお酒を口に含むことができるのも特徴。お酒そのものを感じるのを助けてくれ、よりダイレクトに味わいを楽しむことができます。
ふちに厚みのある器は、口に当たった時やわらかくなめらかな感触を与えます。また薄い器に比べて口の中にゆっくりとお酒が入ってくるため、味わいの印象を穏やかなものにしてくれます。神経をとがらせる必要なくお酒を楽しめるので、普段のおうち飲みや、ゆったり飲みたい時にもぴったりです。
陶器や磁器は器に厚みが出ることが多く、口当たりに大きくかかわる素材。また素材によっても印象が異なり、土で作られる陶器はあたたかな雰囲気。
釉薬の有無、塗りの違いなどを、お酒を飲みながら肌で感じられるのも楽しみのひとつです。つるつるとした表面を持つ磁器はお酒がなめらかな印象になり、また違った味わいが楽しめます。
この記事では、お酒の味わい・香りに影響を与える、器の素材に焦点を当てました。実際の器選びでは、自分スタイルのお酒の飲み方ができる容量なのか、好みの色やデザインなのかも大切です。
飲みたいお酒や試してみたい味わいから最適な形と素材が見つかったら、そうしたポイントも忘れずにチェックして、自分だけの器を見つけてみてくださいね。