作り手
今回お話を伺ったのは、1716年創業、奈良で300年以上、筆の文化を継承する筆専門メーカーのあかしやさん。鴻月では和紙筆ペンとカラー筆ペンセットをお取り扱いさせていただいてます。 筆づくり300年の筆匠が作る穂先は、1本ずつ長さや質が異なる動物の毛を13の手作業による工程で規格品のように均一に仕上げる技術が特徴的で、創業から輝き続けています。 その技術を用いて作られた同社のカラー筆ペンは2007年にステーショナリーオブザイヤー(現:日本文具大賞)を受賞、専門家からも高い評価を受ける傑作です。 筆の歴史や商品の特徴、また筆ペンの未来について代表取締役社長の水谷豊さんにお話をお伺いしました。
作り手 | 『株式会社あかしや』 |
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お話を伺った方 | 水谷 豊さん |
お取り扱い商品 |
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奈良筆とは?
奈良県大和郡山市周辺で作られる筆は、伝統的工芸品としての認定を受け、奈良筆と呼ばれ、古くから受け継がれる技術や伝統が高く評価されています。材料である獣の毛の選定から仕上げまで、全て職人さんによる手仕事で行われています。
その中でも「練り混ぜ」と呼ばれる工程は、奈良筆で用いられる十数種類の獣毛を混ぜ合わせ、使用目的に合った筆を作り上げます。鴻月でお取り扱いの商品にも練り混ぜの技法が用いられています。使われる獣毛の質は、動物の種類や部位、採取時期によって違いが生じてくるため、筆匠には獣毛を一本一本選別する高い技術と豊富な経験が求められます。
他と異なるインスピレーション
伝統や高い技術を用いて作られた筆ペンはユーザーに大きなインスピレーションを与えてくれます。例えば、その書き(描き)やすさ。太い細いも自由自在、「自分が上手いのではないかと思わせてくれる書き心地」だと多くの方が感動しています。
また和紙筆ペンは、柄をプリントしたのではなく、本物の和紙を使い、その感触まで楽しんでいただけるように作られています。カラー筆ペンセットは日本の古色に特化し、その独特の色味にたくさんの刺激を受けてほしいという想いのもとに作られました。
お子様からお年寄りまで
そんな暮らしを彩る筆ペンは、伝統文化の良いところを残しつつ、今の時代に合ったものにしていく努力が詰まってます。その努力のおかげか、お子様からご年配の方まで幅広い年齢層の方が使っているそうです。代表の水谷さんは、展示会などでユーザーから直接使った感想を聞き、商品の改善に努めているそうです。どんなお声が多いのか聞いてみると…
「書きやすいわー!」
と初めて使うユーザーの方の多くが、こう口を揃えて言ってくださるそうです。他にも、「こんな筆ペンがあるの知らんかったわ」、「他の筆ペンとは比べるものではない」、「塗るだけで自分が上手いんじゃないかと勘違いさせてくれる」など、お喜びの声を話される水谷社長の表情は本当に嬉しそうで、その笑顔に筆づくりへの情熱を感じました。
今後のビジョン
「今後のビジョンは?」とお尋ねすると、「筆という文化を海外に伝えた第一人者として、今まで以上に海外の方に使っていただけるようにしたい」と仰っていました。というのは、海外には筆先が細いものはなく、東洋の筆は海外の方にとってインスピレーションになっているそうです。
私も実際にカラー筆ペンを使わせていただきましたが、細い太いは自由自在、にじみやぼかし、色混ぜまで楽しめるこの筆ペンは、これ1つで水彩画が楽しめるまさに「持ち運べるアトリエ」という言葉がピッタリだと思いました。
この筆ペンがたくさんの海外の目に留まり、そのことでまた日本でも注目される、そんな素敵な未来を想像してしまいます。